インターネットとは?
LINEメッセージはどこを通るか
突然ですが、質問です。
いまあなたは、LINEのメッセージを自分のスマホからA子さん宛てに送信しています。このとき、データはどこを伝わってA子さんのスマホまで届いているのでしょうか?
インターネットを経由してデータが届く、が正解です。
たまに、自分のスマホからA子さんのスマホに向かって、直接データが送信されていると考えている人がいますが、これは間違いです。仮にA子さんが自分の目の前にいたとしても、LINEのデータは必ずインターネットを経由します。
インターネットは意外と難しい
さて、それではこのインターネットとは、どのような存在なのでしょうか?そして、なぜインターネットを使ってデータをやり取りする必要があるのでしょうか?
インターネットはとても身近な存在で、当たり前のように利用しているテクノロジーなのですが、意外とその実態を正しく理解している人は少ないものです。
本記事では、インターネットを直観的に理解できるように、丁寧に解説していきます。
インターネットは「めちゃくちゃ道路が整備されている街」
まず、直観的にインターネットを理解していきましょう。
インターネットは「めちゃくちゃ道路が整備されている街」だと思うとわかりやすいです。
インターネットの街ではデータがうごめいている
この世に「インターネット」という名前の街が存在するとします。この街では、人間の代わりに「データ」がうごめいています。
そして、この街の道路はものすごく整備されていて、しかも、案内表示や道を教えてくれる親切な人もたくさんいるので、データは街の中を不自由なく行き来できるようになっています。
街には、街の外と通じている出入口が無数に存在するのですが、どの出入口から入ったデータも、スムーズに目的地にたどり着くことができます。
と、こんな感じです。
インターネットにつなぐと、街を自由に行き来できる
皆さんのスマホは、(電源がOFFだったり機内モードだったりという場合を除いて、)インターネットに接続されている状態ですよね。
インターネットに接続しているということは、インターネットの街と自分のスマホがつながっている状態だと考えることができます。
そうすると、自分のスマホから、データをインターネットの街に送り込むことができるようになります。そして、自分のスマホからインターネットの街に送り込んだデータは、インターネットの街を伝って、インターネットにつながっている別のスマホにまで到達することもできます。
例えば、友達のA子さんのスマホがインターネットに接続されているのであれば、自分のスマートフォンのデータは、インターネットの街を通じて、A子さんのスマートフォンまでたどり着くことができたりします。
逆にインターネットの街にいたデータが、自分のスマホに入ってくることもあります。A子さんのスマートフォンから出てきたデータが、インターネットの街を通じて自分のスマホに入ってくることもあるのです。
つまり、インターネットの街にコンピュータをつなげることで、インターネットにつながっている別のコンピュータともつながることができるのです。LINEやメールは、この技術を利用してメッセージの送受信をしているのです。
コンピュータ同士をどうやってつなぐか
インターネットは、コンピュータ同士でデータの送受信をするための技術の1つです。
インターネットを使うメリットを理解するためには、複数のコンピュータをどうやってつなげばよいかを考えていくのが近道です。
2台のコンピュータをつなぐ
まず、2台のコンピュータ(端末A、端末B)があるとして、端末Aと端末Bの間でデータの送受信をしたいとします。
このとき、端末Aと端末Bをケーブルでつなげば、データの送受信はできるようになります。
3台のコンピュータをつなぐ
続いて、コンピュータを1台増やして、端末Aと端末Bと端末Cでデータの送受信をしたいとします。
このときの接続方法はいくつかありますが、例えば、
- 方法①(直接つなぐ方法):AとB、BとC、CとAをそれぞれつなぐ
- 方法②(中継基地をつかう方法):中継基地Xをつくって、AとX、BとX、CとXをそれぞれつなぐ
といったやり方があります。
方法②で使う中継基地Xは、送られてくるデータの送信元と送信先を判断して、適切な端末にデータを送るような仕組みにしておきます。このような中継基地を「ルータ」と呼びます。
大量のコンピュータをつなぐ
中継基地をつくるというワザ
3台くらいであれば、端末同士を直接つなぐ方法(方法①)でもなんとかなるのですが、台数が増えてくるととんでもない数のケーブルが必要になります。
例えば、100台の場合は4950本のケーブルが必要になります。しかも、各端末は99本のケーブルをつなげられるようになっていなければなりません。
逆に中継基地をつかう方法(方法②)だと、台数が増えてもさほど必要なケーブルの数は増えません。100台の場合も100本で済みます。しかも、各端末は1本のケーブルがつなげられれば足ります。
中継基地の限界
ただし、中継基地をつかう方法にも限界はあります。
例えば、台数が増えてくると中継基地がめちゃくちゃ大変になります。10台くらいのコンピュータであれば、1つの中継基地で処理できるかもしれませんが、1万台をつなごうとすると1つの中継基地ではむりです。
他にも、ひとたび中継基地に不具合が発生したら、それだけで全ての通信ができなくなるという弱さもあります。
中継基地を増やして網目状につなぐというワザ
前述の限界を解消するためにはどうすれば良いのかというと、まずは中継基地を増やすという解決策があります。
さらに、中継基地同士を網目状に接続しておくと、どこかのケーブルが切れたとしても、別のルートで接続が維持されるので、不具合にも強くなります。
こんな感じで、どんどんと中継基地を増やして、網目状の接続を増やしていけば、たくさんのコンピュータが相互にデータをやりとりできるネットワークができあがります。新しくこのネットワークに接続したいコンピュータは、たくさんある中継基地のうち、どれか1つと接続すれば良いのです。
世界中でつくられたネットワークがつながっていまのインターネットができた
1969年、アメリカの4つの中継基地(当時はIMPと呼ばれていました)をつなぐネットワークが完成しました。その後も、アメリカ国内にある様々なIMPが続々とこのネットワークに参加し、1975年7月には57台のIMPが参加するに至ります。
このような「小さなネットワークの誕生」は、世界中で発生するようになります。日本では、1984年に、慶応義塾大学、東京工業大学、東京大学の3大学の中継基地同士が接続されたのが始まりとされています。
その後、世界中の小さなネットワークがどんどんと大きくなり、さらに相互に接続されるようになっていくことで、全世界がつながった超巨大ネットワークが誕生しました。
これが、「インターネット」です。
インターネットを使うメリットとデメリット
メリットの例
簡単に使える
いまや、ほとんどすべてのコンピュータはインターネットに接続できるようになっています。
ですから、とりあえずインターネットをつかってデータを送受信する仕組みをつくっておけば、通信で困ることはありません。
インターネット上のデータやコンピュータを利用できる
インターネットを使うことで、大量のデータやコンピュータアクセスできます。
これを利用することで、コンピュータ単体で頑張るよりも、はるかにいろいろなことができるようになります。
デメリットの例
インターネットに接続できる仕組みが必要
コンピュータとインターネットを接続する方法として、有線ケーブル(LANケーブル)、Wi-Fi、4G/5G回線などがありますが、これらの仕組みが無いのであればインターネットは利用できません。
例えば、電波の届かない秘境の洞窟内に2つのパソコンがあり、この2台の間でデータのやりとりをしたいのであれば、インターネットを使うのは賢明ではありません。(2台を直接ケーブルでつなぐか、USBメモリなどの外部記憶装置を使う方がよいです。)
悪いやつの攻撃を受ける可能性がある
いつ何時も悪いことを考える人間はいるものです。インターネットの世界も例外ではありません。
例えば、インターネットを流れる情報を盗み取ろうとしたり、インターネットを通じてパソコンを破壊するソフトウェアを送り込もうとしてくる人がいます。
適切な技術をつかうことで、こういった通信傍受や攻撃をある程度防ぐことはできるのですが、完ぺきではありません。従って、本当の機密情報をやりとりしたいのであれば、インターネットをつかうのは得策ではありません。実際、政府や軍などは、インターネットではない独自の通信網を持っていることがあります。